色で雰囲気を統一
  扱い難しいオープンラック
糸井あさ美

 「知り合いが夫の赴任先の韓国から帰国することになったのだけど、持ち帰る家具を選ぶのに迷っているみたい。処分する家具と残す物をどうやって決めたらいいか、アドバイスしてもらえないかしら」
 最初に相談してきたのは、わたしの友人でした。ご本人から詳しい話を聞こうと、韓国にメールを送りました。
 依頼者のAさんは三十代後半の夫、小学生の女の子と男の子の四人家族。「まずは日本の家の図面が見たい」と伝え、さらに日本に残している家具、韓国で使っている家具両方のリストと、あれば家具の写真も送ってほしいとお願いしました。
 家具を選ぶポイントは色と形です。部屋の色調や雰囲気を統一し、奥行きの浅い物でそろえると、配置がしやすく、部屋を広く感じさせることができます。
 Aさんの場合、日本の家はドア、床とも濃い茶色の木目。家具も茶色っぽい物が多かったのですが、韓国の家具はほとんどが薄い色の木目でした。子ども部屋を明るい雰囲気にするため、持ち帰るのは子どもたちのベッドと机に決めました。
 キッチンにはオープンラックがいくつもあったのですが、こちらは一つを残して処分しました。このオープンラック、一見使いやすそうな上、価格もお手ごろでつい買ってしまいがちですが、使いこなすのは意外に難しいのです。
 例えば、調味料の入れ物はメーカーによって色も形もさまざま。背の高いボトルなどは倒れやすく、同じ形の瓶に詰め替えてそろえるようにしないと見苦しくなり、整頓しないと物がはみ出てしまいます。
 パイプ部分にフックを付け、そこにスーパーのポリ袋を掛けるのも定番。でも、そうすると、どんなにすてきなキッチンも、一気に雰囲気を壊してしまうので、要注意です。
 家具のレイアウトも決まり、帰国して荷物がおさまった後、Aさんからメールをいただきました。「快適な生活が送れて、満足しております。次の野望はお風呂、洗面所、トイレのリフォームです。近いうちにまた、お願いする日が来ると思います」
(糸井あさ美・インテリアプランナー、イラストも)